安全への取り組み

2018年度 安全報告書

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2018年度安全報告書

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はじめに

「2018年度 安全報告書」発行にあたって


平素より中日本航空株式会社をご利用いただき、誠にありがとうございます。
ここに「2018年度 中日本航空株式会社安全報告書」を作成いたしました。
ご一読いただき、弊社の安全への取組みについてご理解賜りますようお願い申し上げます。
弊社において近年航空事故はありませんが、残念ながら前年度に続き、2018年度も1件の重大インシデントを発生させてしまいました。
今一度大きな危機感を持ち、ヒューマンエラーに起因するインシデントの連鎖を断ち切るべく、再発防止策を講じるとともに社員の意識改革に取り組んでまいります。
2019年度も、全役員・社員一丸となって安全運航に向けたあらゆる取組みを行い、更なる安全文化の醸成と「中日本航空 安全方針」に基づいた運航の安全確保に関する基本理念の一層の浸透と定着化を図ります。
また、安全方針第一項の「安全確保は事業活動の基盤であり全てに優先します。」を堅持し、「広くご利用の皆様に信頼され、愛される中日本航空」を目指していく所存です。
今後とも皆様のより一層のご愛顧を賜りますとともに、引き続きのご指導ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2019年 8月

1 安全を確保するための事業の運営の基本的な方針

(航空法施行規則第221条の6第1号)

中日本航空株式会社は、名鉄グループの一員として「名鉄グループ企業倫理基本方針」に従い、自らの役割と責任を明確にして行動します。
次の5つを基本原則とし、前例や既成概念にとらわれることなく、オープンで風通しの良い企業風土を築き上げます。

名鉄グループ
企業倫理基本方針
1 ルールの遵守(法令遵守の徹底)
2 全の確保
3 公正な事業活動
4 積極的なコミュニケーション活動
5 人と社会の尊重

中日本航空株式会社は、運航の安全の確保に関する基本理念として次の「安全方針」を策定し、これに従い行動します。

中日本航空安全方針1 安全確保は事業活動の基盤であり全てに優先します。
2 定められたルールに従い業務を遂行します。
3 安全性の継続的な改善に取り組みます。
4 正確な情報の収集・伝達・共有を図ります。

2 安全を確保するための事業の実施及びその管理体制

(航空法施行規則第221条の6第2号)

2.1 安全管理体制

中日本航空では、安全管理体制(組織・仕組み・機能・役割等)を確立し、経営トップから現場まで一丸となって、いわゆる「PDCAサイクル」の考え方を取り入れることにより、継続的な活動を行い運航の安全の水準の維持及び向上を図っております。
これらは安全管理規程に定めています。

(1)安全管理体制の機能図


(2)人員に関する情報(2019年3月31日現在)

ア 各組織の人員数
安全運航推進委員会安全運航推進担当安全推進室安全監査室輸送の安全に係る部署
22名14名5名
他兼務者2名
3名
兼務監査員20名
573名
(左記の人員を含む)
イ 航空機乗組員及び整備従事者の数
航空機乗組員整備従事者
128名321名
ウ 運航管理者及び整備従事者のうち有資格者の数
有資格運航管理者有資格整備士
6名244名

(3)安全確保に関する組織の機能・役割の概要

ア 安全運航推進委員会

全社的な安全運航体制の継続的な改善を図るための最高審議機関として、社長を委員長、航空事業本部及び関連部門の役員及び部室長を委員とした安全運航推進委員会を設置しています。
毎月1回定例委員会を開催し、安全に係る事項についての報告、検討、評価等討議を行い、決定した事項は社内展開を行っています。


イ 職場安全会議

各部署では、職場安全会議を毎月1回開催しています。安全に関する各職場での問題点の討議及び改善、ヒヤリハット、不具合事例等の報告・水平展開等を行って安全意識の高揚及び安全情報の共有を図り、安全活動の拡大・活性化を図っています。



ウ 安全推進室

安全全般に係る全社的な方針、計画を策定し、推進を図り、安全管理体制に係る安全の教育・訓練、安全意識高揚のための施策等を企画、立案します。また、「安全運航推進委員会」の事務局を担当し、安全に関する情報の収集、分析、管理、社内周知等を行います。

エ 安全監査室

安全管理体制に係る部署等への内部監査を実施しています。監査により不具合が確認された時は、改善要求を行い、改善措置の実施を確認します。


2.2 日常運航の支援体制

(1)定期訓練及び審査の内容

操縦士及び整備士等の定期訓練、審査の内容については、航空局の「運航規程審査要領:空航第58号」、「整備規程審査要領:空機第73号」及び「航空運送事業及び航空機使用事業の許可及び事業計画変更の許可審査要領:空機第68及び69号」に基づき、社内規定等を設定し、定期訓練及び審査を実施しています。さらに、当社独自の教育・訓練も行っています。

ア 操縦士
定期訓練操縦士に対して、「運航上必要とする知識」及び「使用航空機に関する知識」を維持、向上するための定期的な訓練を実施しています。
定期審査操縦士に対して、乗務に必要な知識及び能力を有することを確認するための審査を半年又は1年に1度実施しています。
その他実施している訓練等・CRM訓練 ※1
・RVSM ※2、RNAV ※3訓練
・運航気象条件訓練
・本格的な冬を迎える前の冬期安全講習会
・冬期運航訓練
・海外での操縦訓練、シミュレーター訓練
・実機を使用した緊急脱出訓練
・水上サバイバル訓練
・安全に関しての勉強会を毎月1回開催 等

※1 CRM(Crew Resource Management)訓練
操縦室内の全ての利用可能な資源(機器、人、情報等)を最適に利用するため、知識、スキル、コミュニケーション、状況認識、問題解決、意思決定、そしてチームワーク等を向上させるための訓練です。
※2 RVSM(Reduced Vertical Separation Minimum:短縮垂直間隔)
空域の容量拡大・有効利用の観点から、29,000フィート(約8,850メートル)以上41,000フィート(約12,500メートル)以下の高度帯において、垂直管制間隔を現行の2,000フィート(約600メートル)から1,000フィート(約300メートル)に短縮する方式をいいます。
※3 RNAV(area navigation:広域航法)
機上に自蔵航法装置等を備えることで、従来の無線航法のように航空保安無線施設の位置に左右されることなくルートを設定する航法システムです。

イ 整備従事者
定期訓練整備従事者に対して、整備規程及び業務規程に基づき、法規等の改正への適応、品質管理体制の向上、整備技術上の不具合の周知、整備技量維持及びヒューマンファクターに係る不具合防止等を図るため、2年ごとに訓練を実施しています。
その他実施している訓練等・整備基礎訓練、整備資格者養成訓練及び冬期運航に関する訓練やRVSM、RNAV運航に関する教育訓練
・メーカーによるエンジン、機体システム、アビオニクス訓練等、各種社外訓練
・認定業務従事者に対する初期訓練、限定追加訓練、復帰訓練、定期訓練、臨時訓練、OJT等を随時実施
ウ 運航管理者等
定期訓練運航管理者等に対して、訓練・審査規程(運航管理者)及び運航規程(運航管理担当者等)等の規定に基づき、業務に必要な最新の知識を付与し、能力の維持向上を図るため、定期的な訓練を実施しています。
その他実施している主な訓練・任用訓練
 運航管理者等、訓練教官及び審査担当者を任用するための訓練
・資格取得訓練
 運航管理者の資格を取得するための訓練
・復帰訓練
 運航管理業務を連続して1年以上離れ、再び運航管理者等として業務に従事する場合に実施
・RVSM訓練
 RVSM航行に必要な知識を付与するために実施
・RNAV訓練
 RNAV航行に必要な知識を付与するために実施

(2)日常運航における問題点の把握とその共有、現場へのフィードバックの体制

ア 操縦士は、航空法で定められた機長による義務報告事項に加え、日常の運航における機長報告を行っています。特に、報告の中で安全に関する事象の把握に努め、改善が必要な事象については、他部門と連携して改善するとともに、情報共有を図っています。

イ 整備従事者は、問題点や不具合事項を把握した場合、整備規程に定められた手順に従って報告又は連絡を行い、必要に応じて品質保証部、各整備部から業務連絡及び技術通報等を発行して周知します。

ウ 運航管理者等は、動態管理システム等を活用して運航状況を常に把握し、気象情報、飛行区域に関する航空交通情報等を機長に提供する等、必要な援助を行います。
飛行後は、機長から運航状況の報告を受け、その内容を分析し、報告書作成等の必要な措置を講じます。

エ 各部署において、安全に関するミーティングを月1度以上定期的に実施しています。

オ 各部署に配置された安全運航推進担当は、「機長報告」、「ヒヤリハット報告」等により運航状況の把握に努め、これを分析して関係者に通知します。

2.3 使用している航空機の情報

2019年3月31日現在、飛行機(固定翼機)8機、ヘリコプター(回転翼機)61機の計69機の航空機を使用しています。

固定翼機機種機数座席数年間平均飛行時間(h/機)導入開始(年)平均機齢(年)
セスナ式
208/B型
39261199220
ビーチクラフト式
B200型
29292199914
セスナ式
560型
38304199829
固定翼機合計8固定翼全体平均機齢22
回転翼機機種機数座席数年間平均飛行時間(h/機)導入開始(年)平均機齢(年)
ベル式
206B型
2444197728
アエロスパシアル式
AS350B/B1/B2型
95227198331
ユーロコプター式
AS350B3型
35132200317
エアバスヘリコプター式
B3E
4520920135
MDヘリコプターズ式
MD369E型
34226200229
アエロスパシアル式
AS355N/F2型
55202199028
ベル式
430型
69181199718
ユーロコプター式
EC135P1/P2/P2+型
197194200012
ベル式
429型
3718320115
アエロスパシアル式
AS365N2型
113225200911
ベル式
412EP型
114184199524
富士ベル式
204B-2型
29252197734
アエロスパシアル式
AS332L/L1型
325398198830
回転翼機合計61回転翼全体平均機齢19

3 航空法第111条の4に基づく安全上の支障を及ぼす事態の報告

(航空法施行規則第221条の6第3号)

2018年度に航空局に報告を行った事象で、航空法第111条の6に基づき安全報告書により公表が求められている航空運送事業に関する報告件数は、次のとおりです。

3.1 航空事故・トラブル等の発生状況について

種類2016年度2017年度2018年度
航空事故 ※40(0)0(0)0(0)
重大インシデント ※50(0)2(0)1(0)
安全上のトラブル ※6123

※ 航空事故、重大インシデントについては、航空機使用事業に係る件数を括弧内に外数で記入しています。

※4 航空事故
航空法第76条に定められている「航空機の墜落、衝突又は火災」、「航空機による人の死傷又は物件の損壊」等の事態が該当し、国土交通省が認定します。
※5 重大インシデント
航空事故には至らないものの、「航空事故が発生するおそれがあると認められる事態」であり、滑走路からの逸脱、非常脱出等が該当し、国土交通省が認定します。
※6 安全上のトラブル(義務報告)
2006年の航空法改正により、航空事故や重大インシデントに至らなかった事案に関する情報についても、未然予防対策に活用していくことを目的に、「その他の航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事態」(安全上のトラブル)を国に報告することが義務付けられました(航空法111条の4)。報告された情報は、国土交通省航空局で統計的な分析が行われ、安全施策へ反映されます。また、インターネットシステム(ASIMS)を通じて航空安全情報を航空事業者間で共有する仕組みが設けられています(航空法第111条の5)。

3.2 航空事故・トラブル等の概要及び対策

航空事故は、発生しませんでした。
重大インシデントは1件発生、安全上のトラブルは3件発生しました。概要は次のとおりです。

重大インシデント機種概要及び措置
吊り下げ輸送中における物件の落下アエロスパシアル式
AS332L型 JA9660
2018年8月21日 北海道松前郡福島町にて、鉄塔建設用の物資輸送中に機外に吊り下げていたモッコからブルーシートとケーブルを落下させた。
・吊り下げた状態での荷姿に違和感がある場合は一度地上に下ろして再確認をする。
・二重にモッコを掛ける又はモッコの結び目につながる隙間を固縛するなどの対策がされていない荷物は輸送しない。
・物資輸送に関する要領及び教育資料の改正並びに関係者への再教育を実施した。
安全上のトラブル機種概要及び措置
管制指示高度聞き間違いによる高度逸脱ビーチクラフト式
B200型 JA122N
2018年5月15日 仙台空港にアプローチ中、管制から指示された高度より低い高度をALT SELECTORに設定して降下した。
・飛行機運航部で要因分析及び再発防止策を討議、策定した。
ドクターヘリ運航での危険物輸送判明エアバスヘリコプター式
EC135P2+ JA118D
2018年6月9日 北海道三笠市にてドクターヘリで傷病者を搬送した翌日に、傷病者の手荷物に携行燃料が含まれていることが判明した。
・日本航空医療学会に当該事例を報告、ドクターヘリ関係者に周知した。
航空身体検査における意図しない不正2018年12月19日 航空身体検査で申告すべき身体症状を当該操縦士の認識不足により申告せず、航空身体検査不適合の可能性のある状態で航空業務を行ったことが判明した。
・全航空機乗組員に対して航空身体検査に係る知識の付与等を実施した。
・健康管理担当者として保健師を常駐することとした。

4 安全を確保するために講じた措置

(航空法施行規則第221条の6第4号)

4.1 国から受けた行政処分又は行政指導等

2018年度において国から受けた行政処分・行政指導は、ありませんでした。

4.2 2018年度の安全目標の達成状況

2018年度の安全目標に対する主な取組みの実施状況は次のとおりです。

航空事故ゼロ・重大インシデントゼロ

  • 航空事故はありませんが、重大インシデントが1件発生しました。当該事案については是正措置を行い、再発防止に向けて全社一丸となって取り組んでいきます。
  • 航空機を使用して事業を営む会社にとって永遠の目標である「航空事故及び重大インシデントゼロ」を引き続き目指していきます。

ヒューマンエラー撲滅に向けた取組み

  • ヒューマンエラーに起因する不具合の撲滅に向けて、特に「指差呼称」による確認行為の徹底をしてきました。また、定期的にヒューマンファクターに関する研修を実施しました。次年度以降も、これらを繰り返し根気よく取り組んでいきます。

「安全は全てに優先する」意識の深化と定着

  • 「安全最優先」の意識がより強く、より根付いていくように職場安全会議等を活用し、  安全情報の共有や討議等は活発に行われておりました。しかし、ヒヤリハット・気がかり報告件数については、2018年度は約8%減少したため、推進活動のあり方について反省し、各部署から任命されている安全運航推進担当の教育を充実すること等改善及び啓発を図っていきます。

安全確保に必要な投資の継続

  • 安全確保のための投資は、最終的には会社及び社員の利益に直結することを踏まえ、積極的に資機材の新規導入や更新、環境整備や施設の改善、社内外での教育訓練の実施等の人材育成に投資を行っています。
  • 2018年度からは外部の講師による「ヒューマンファクター安全研修会」を各月で開催しており、以降も継続して取り組んでいきます。

4.3 安全に関する取組み状況

(1)安全に関する教育・啓発活動等の取組み

◆ SMS教育
運輸安全マネジメント制度に基づくSMS(Safety Management System)について、階層別に従業員への教育を実施しています。

◆ 安全方針の浸透・定着
全従業員への安全方針カードの配布、各部署でのポスター掲示等を行い、安全方針の浸透及び定着を図っています。

◆ 航空安全週間
毎年5月に弊社独自の航空安全週間を設けています。過去の事故を風化させず、安全意識の向上を図るため、様々な行事を行っています。


◆ 社内巡視    
航空安全週間及び年末年始安全総点検時に、社長・役員等による現場巡視及び社員との直接対話を実施し、安全マネジメント活動の浸透状況を確認するとともに社員の安全意識の高揚を図っています。

◆ 航空安全講演会
社外から特別講師をお招きし、安全に関する講演会を開催しています。


◆ 安全情報誌の発行
毎月「安全情報誌」を発行し、安全を考え、学ぶための機会を設けています。

◆ 安全標語及びポスターの掲示
社内から公募により選出された安全標語やポスターを各部署に掲示し、安全意識の高揚を図っています。

◆ CRM(クルー・リソース・マネジメント)訓練を拡充しています。

◆ 海外メーカー等において、操縦士及び整備士の訓練を計画的に実施しています。


◆ ヒューマンファクターズに関する訓練
ヒューマンファクターの基礎から、ヒューマンエラー・マネジメント、TRM(チーム・リソース・マネジメント)等の研修及び訓練を実施しています。
外部に講師を依頼し、客観的な刺激を受けることにより、社員の安全意識の改革及び高揚を図り、会社の安全文化を高めて事故やトラブルの根絶を目的としています。

(2)その他安全に関する取組み

◆ 航空機の機体更新を積極的に進めるとともに、更新に当たってはTCAD(空中衝突警告装置)・GPS受信機等の安全装備の充実を図っています。

◆ 全国の運航を本社で一元的に管理していますが、運航の支援と監視を向上させるため、VHF無線のネットワークの充実を図りました。また、動態管理システムの更なる質、機材数の拡充を図っています。

◆ 各部署に対し定期的に内部監査を行い、不具合要因の発見と是正に努めています。

4.4 2019年度の安全目標

2018年度に実施した安全推進活動やマネジメントレビューの結果を踏まえて、2019年度安全目標を設定しました。

航空事故及び重大インシデントゼロ

  • 目指すべき最大の目標であるため、引き続き最上位の目標とします。

エラーマネジメントによる不具合の減少

  • ヒューマンエラーをマネジメントすることにより不具合の未然防止策に取り組みます。

安全最優先の意識を持って行動に繋げること

  • 安全は何よりも優先するという意識をもとに、次のステップとして常に「安全最優先の行動がとれること」を目標にします。

安全推進に有効な教育の実施

  • 社会やお客様から信頼される人材の育成に力を注ぎ、安全と安心を提供します。